2018年1月9日火曜日

コミックマーケット93に参加しました

わかめそばです。

コミックマーケット93の1日目である2017年12月29日に、サークル「53鍵盤」として参加してきました。サークルに足を運んでくださった皆様、誠にありがとうございました。


今回は SobaCha 本の3作目となる The Book of SobaCha 3 と、既刊のまとめ本である The Book of SobaCha 1+2 を頒布しました。会場では、友人のけぷとん氏 (@kepton_e) にお手伝いを頂き、スムーズな頒布を行うことが出来ました。ありがとうございます。

新刊につきましてはコミックZIN様に委託する予定です。委託が開始されればオンライン通販の他、秋葉原などの実店舗でも入手することが出来ます。こちらも是非ご利用ください。




念願のオフセット印刷


2年前、私が初めて頒布した初代SobaCha本はセブンイレブンの印刷機で印刷し、自宅でホチキスを留めたコピー本という簡易な造りでした。人力で製本するため部数は50部が精一杯で、さらにコミケ当日は部数が間に合わず、買いに来て頂いた方の目の前で製本しながらお渡ししていました。

その翌年である The Book of SobaCha 2 の時は、申し込みの時点で印刷所への入稿を見据えたスケジュールを立てるも、大学の卒業研究と学会論文のスケジュールに阻まれてしまい、入稿には間に合わずまたしてもコピー本としての製作となってしまいました。印刷部数が100部に増えたため流石にセブンイレブンでの印刷にはせずに、ホチキス留めまで全自動で行ってくれるキンコーズの印刷機をレンタルして製本しました。

そうして大学を卒業した 2017年、3部目となる The Book of SobaCha 3 にて、ついに印刷所でのオフセット印刷の夢を叶えました。


The Book of SobaCha 3 の製作にあたり、印刷所をケーナイン様に決め、部数を前作の倍となる200部に増やしました。さらに入稿に必要となる CMYK の PSD を出力する為に CLIP STUDIO PAINT PRO を購入し、印刷費が高額となることから12月12日の早割20(2割引)に間に合うスケジュールを立て…と、これまでの反省をフル活用し、ようやく「コミケでよく見る感じの本」を手にすることが出来ました。コミケで並んでいる本を眺めている時は意識していませんでしたが、自ら製作の流れを体験してみて、1年に2回もこれらを実行している同人作家の皆様の凄さを改めて思い知らされています。

ところで、製作時期と部数の都合により、既刊まとめ本の The Book of SobaCha 1+2 はオフセット印刷ではなくオンデマンド印刷です。大雑把に説明すると、オフセット印刷は専門の機械で版を作ることで商業レベルの印刷品質が得られる代わりに少部数では高額となり、オンデマンド印刷はいわゆる「業務用プリンターの凄いやつ」を使って直接印刷することで早く安く作れる方式です。

ちなみに SobaCha 本では以前から、本文を階調のあるグレースケールで印刷していますが、このグレースケールの表現の違いを SobaCha 本で確認することが出来ます。

オフセット印刷を使用した The Book of SobaCha 3 では、グレースケールは鮮明な点の集合で表現されています。


一方、オンデマンド印刷の The Book of SobaCha 1+2 では、やや鈍い線の濃淡によって階調が表現されています。


このあたりの違いも、同人誌を作る上で中々興味深いポイントです。技術書はコミックと異なりトーンによる表現を行うのは難しいですから、鮮明に印刷できるよう事前に画像データを編集したり、印刷所のテンプレートへ変換する際にパラメータを調節する事で品質向上を目指すのがよいと思います。


SobaCha ステッカー


一方、製作に苦戦したのが SobaCha ステッカーです。前回の SobaCha ステッカーは紙を用いた材質のため耐久性が低く、パソコンに貼ると1年程度で摩耗してしまうことがわかりました。この反省から、C93版は素材を塩化ビニールに変更し、さらにコーティングを施して耐久性を向上させました。

実は、会場で頒布した SobaCha ステッカーの他に、製作に失敗したステッカーがもう1セット存在しています。右が失敗したステッカーです。


このミスは RGB から CMYK への変換を行う際の調節が不十分だった事によるものです。RGB で表現できる色の範囲よりも CMYK で表現できる色の範囲の方が遥かに狭く、画像処理ソフトウェアで RGB から CMYK に変換を行うと RGB の範囲が無理やり CMYK に押し込められ、色にくすみが生じます。そして SobaCha カラーとして使用している濃い茶色は、CMYK に変換する際に、より顕著にくすみが発生するようです。

茶色のくすみを防ぐために CMYK への変換時にシアンを少し抜いてあげた上で、全体を若干明るくする事で、元々の色合いに近くなりました。




学生を卒業してから SobaCha 本を執筆してみて


The Book of SobaCha 1, 2 の頃と環境が変わり、大学を卒業して社会人になってから初めての同人活動となりました。大学在学時は毎週理不尽極まりない手書きレポートとグラフを書かされる、卒論の進捗が出ず研究室に宿泊するといった生活を送っていましたが、卒業後は幸いにもこういったあまりに不安定な生活を強いられる事もなく、ある程度作業の見通しを立てやすくなりました。

ただし、目に見えて落ちるのが執筆時の体力と集中力です。社会人となり昼間に集中する時間が増えた分、夜になり原稿の進捗を進める頃には既に筆を進めるエネルギーが尽きている事が予想されました。そのため、原稿を進める上で以下の項目を守るようにしました。


  • 少しずつ進める
  • 長時間寝る


前者の実現の為には原稿を早めに始める必要があったため「冬コミ当落発表前に執筆をスタートする」という目標の上で、夏コミ終了の1週間後に書き始める事にしました。

そして、毎日少しでもよいので原稿に手を付け、早めに全体像を掴むことで、構成を削ったり整えたりといった作業も行いやすくなりました。

ただし、実際にはこの2日後に Minecraft を購入しており、原稿の合間にちょくちょく Minecraft で遊んでいたため、最終的に目標を達成したかというと微妙な感じになっています。人間、誘惑を断ち切るのは難しいです。



後者についてはもう寝るしかありません。人間は寝ないと正常に生きて行けず、そして私は体力が無いために特に5時間以下の睡眠時間では集中力と精神の健康が露骨に悪化するので、とにかく沢山寝ることにしました。同人活動といえば寝ずに原稿を進めるのが美徳っぽい風潮がありますが、寝ましょう。


まとめると、今後も同人活動を続ける上での鍵は時間と体力の確保になりそうです。SobaChaをのんびり開発しつつ、コミケと技術書典に年1度づつサークルとして参加できればいいな、と思っています。

2018年も、サークル「53鍵盤」をよろしくお願いします。

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